トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅洋小屋トラス構造のオーディオルームにDynaudio/C4

洋小屋トラス構造のオーディオルームにDynaudio/C4



 素晴らしい設計の部屋


 K.Tさんの紹介で、同じ日にT.TさんのC4をクリニックさせて頂きました。K.Tさんの影響でC4を買われた方が軽井沢に3人もいらっしゃるそうです。

 その内のお一人であるT.Tさんはログハウスに洋小屋風トラス構造のオーディオルームを最近増築したばかり。その設計と建築を担当なさったのがK.Tさんの経営される高橋建設さんであります。


 今まで伺った中でも間違いなく3本の指に入るであろう素晴らしい響きの部屋であります。お金さえあれば私も今すぐにでも欲しい空間です。音から推するに軽井沢の電源環境は大変素晴らしいと思います。


 軽井沢の自然が失われようとしている


 しかし、その地に初めて足を踏み入れた者として気になったのは、立ち枯れた木の多さです。年中緑であるはずの常緑樹がまるで枯葉剤でも撒かれたように朽ちているのです。これは残念というより悲しい気持ちになりました。

 いつも走っている山陽道の道沿いに松枯れが見受けられるのとも違う光景です。私の憶測に過ぎませんが、沢山あるゴルフ場で使われている農薬に原因があるのではないでしょうか・・・?。

 ちょっと本題から外れてしまいましたので、話をオーディオに戻しましょう。一見美しくレイアウトされたセッティングなのですが、正直申し上げて良いセッティングとは言えません。寸分違わず左右対称に設置しても、部屋その物が対称ではないので却って音に狂いが生じるのです。


 素晴らしい床材が台無し


 寸法的な話とは違いますが、残念な内容その1は、素晴らしい床材にも拘らずスピーカーの下に御影石を敷いてある点です。御影石は軟弱な床の場合だと長所に働くことがありますが、今回に限っては最高の食材が台無しになるような調理法の典型であります。

 しかしながら部屋の寸法比の良さと無垢木の長所がそれらの短所を補って余りあるからそこそこ聴ける状態にあるのですが、普通の部屋の作りでしたら10分聴いているのも辛いはずです。

 C4は部屋とのセッティングが上手く行っていないと、肥満型の低音になり、もわもわとした音がいつまでも残る大変厄介なスピーカーです。特に速いビートを刻むような音楽は得意ではありません。

 おそらくや、トールボーイ特有の膨らんだ低音に業を煮やし、音の輪郭の明瞭さを求めるあまり採った策であろうと思います。ここらあたりの判断がオーディオの一番難しいところであります。その道のプロでも判断を誤る鬼門なのです。


 根本からクリニック


 思い切ってスピーカーの下の御影石を外し、スピーカーの音楽振動を断ち切るのではなく、積極的に床と一緒になって振動を有難い物として受け止める考え方に則って進めます。部屋全体をスーパーウーハーのような役割を持って貰う為のインターフェイスとして、スパイク受け専用インシュレーターであるGiant Baseを履かせて試聴して頂きました。


 今まで溜まっていた不満が一気に噴出したが如く、見事なまでに音楽が流れるようになり、それはそれは快適な音楽空間に変身しました。硬い素材によって撥ね返った振動がぶつかり合うことによって、消滅したり、埋もれていた音が再生され圧倒的に情報量が増えました。

 正確には増えたというのは間違いで、本来あった姿に戻っただけなのです。それにしても、一度失った音が蘇ると新たに増えたように感ずるのは不思議なものです。


 振動の核心をついたセッティング


 この変化の大きさにはT.Tさんも唖然とされ、すぐに導入を決められました。この処置によって私のクリニックとローゼンクランツ製品の性能の確かさに納得頂いたようで、その後の提案に対して大変スムーズに事が運ぶようになりました。

 Giant Baseによってもたらされた功績は、T.Tさんの持つ数百万円もするアンプと伍するとも、それ以上の価値を発揮したのです。せっかっく能力ある機器を買い求めても、その持てる力を発揮出来ない状態では、何倍も高い買い物をしたのと変わりありません。しっかりと元を取って欲しいと思います。


 オーディオというくじで特等賞を引き当てたT.Tさん


 もちろんスピーカーの位置合わせはしましたが、基本的にはスパイク受けを交換しただけで、これほどまでに音が激変し向上した例は過去に例がありません。別の言い方をすると、まだ手の内の十分の一も出していない段階で、こんな音がするのは天才と神様を親に持って生まれたようなものです。それを引き当てたのもT.Tさんのくじ運であり実力なのです。


 それは、いかにこの部屋が音響的に優れているかを物語っています。それは私のように経験豊富な者でなければ、比較材料が無いので、どれ位凄いのかが分からない訳です。まさにこの点に於いても、カイザーサウンドは大きなアドバンテージを持っている事になります。


 世界で唯一無二の技巧(スピーカーの加速度組み立て)


 一日でお二人のスピーカーの加速度組み立てを施すのは初めての経験です。それも同じスピーカーですから、二度目は仕上げるのが速かったです。

 バーチカルツインというのは本来フルレンジの鳴り方を理想として誕生した方式ですから、普段からフルレンジの高性能スピーカーを手掛けている当社にとっては、これ以上得意なスピーカーはありません。

左スピーカーの上部
右スピーカーの上部

左スピーカーの下部
右スピーカーの下部

 上下に挟まれた対となる低、中、高のユニット6個が、まるで1個のユニットから音が出ているように、まとめ上げるだけの耳と高度な技術手法を持っていなければ出来ません。それにはユニットの持つエネルギーの方向性を聴読解する能力が要求されるのと同時に、指先に掛かるネジのトルクを感じ取る職人技としてのセンサーも欠かせません。


 次の改善テーマをご提案


 本日の第一回目の訪問クリニックは私の予想を遥か上回る効果がありましたので、更なる改善策として次回はコンポーネントの振動対策についてお話し申し上げました。

 横に2連、3連と繋がった形のオーディオラックには、お互いの機材の振動減衰時間に誤差が生じ、泣き収まったかと思うと隣の子が泣き始めるといった現象が起こります。これが悪の振動連鎖を引き起こし音が混濁する原因となるのです。


 具体的にはそれぞれの機材の下に御影石を敷いているのを止め、近々ローゼンクランツから発売予定の、棚板の高さ調整可能な機能と音質の両面を兼ね備えた高級オーディオラックを次回の改善策として提案させて頂きました。




 2度目の訪問


 カイザーラックの第2弾は構想から6年は要したでしょうか・・・。簡単に出来ると思ってスタートしたのですが、何度図面を引こうとも、どこかに無駄があって悶々とした時が過ぎて行くばかりでした。それぐらい難産でした。

 ロングセラーである初代カイザーラックの音の良さを損なわずに機能性と利便性を上げる。この欲張りなテーマが私の頭を何度も悩ましたのです。


 素晴らしい音のオーディオラック


 振動を瞬時に開放し、軽快なテンポと美しい音色を奏でるオーディオラックがとうとう完成しました。柱に選んだ素材は3.2ミリ厚の鉄でした。電源タップのナイアガラJr.の筐体と同じです。私の設計は肝心要のところには不思議と鉄に落ち着くのです。


 その設計の肝となったのは柱の絶妙な曲げ角度です。4本の柱が遠心力が働くように外に向かってエネルギーを解き放ちます。部屋中に音楽が充満するメカニズムです。その柱はカイザー寸法に則り、52.5ミリ毎に高さが変えられるようになっています。正確なピッチで刻む音のリズムにも一役買っている訳です。

 棚板だって当然カイザー寸法で出来ていて、幅が52.5センチ奥行きが42センチです。このサイズは黄金の比率ですから初代のモデルから引き継いでおります。



 オプションの拘り足回りも充実


 1ヶ所当たり5万円もするオプションのGiant BaseとGiant Spikeは予算の都合上今回は見送りとなりましたが、都合がつきさえすれば後で必ず導入してくださいと強くお勧め致しました。足回りのアップ写真は純正のエコブラス製8ミリスパイクです。スパイク受けには1個4,700円のPoint Basieを使用。


 どの機材も高価で作りも大変美しいので設置には大変神経を使います。最初は機器の下にはインシュレーター類は何も入れず純正のままで聴いてみました。それでもラックその物の完成度が高いので、まったく持って次元の違う音になりました。


 次にCDプレーヤーにPB-BIGIIを試聴して頂きます。この効果は誰も疑う余地が無いほど素晴らしく、迷うことなくすぐに導入決定です。



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